○今日から善戦○

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裕太郎と車に行くと、陽向は『勘弁してくれ』って顔で後部座席で俯いて座っていた。 運転席の裕典は、手を振り自分に酔っているかのように陽気な顔で話している。 「お待たせ♪陽向、ごめんな」 後部座席を裕太郎が開けると、陽向は『天の助けだ』と言わんばかりに裕太郎へと近寄った。 「裕典が窓はロックするわ、チャイルドロックまでかけてやがって、俺を車の中に監禁したんだ。逃げたくても逃げられなかった……」 「兄貴くらいガツンとぶん殴ってやりゃあよかったのに……」 「裕太郎なら楽勝だろうけど、腹立つことにあんななのに俺より強いからな……非常にムカつきながら、下手なアカペラを聞かされてた。もう拷問だった……」 『にょほほほ~』とバカ面で笑ってはいるが、裕典は結構強いからな。 賢明な判断だ、陽向。 「んじゃま、焼き肉でいいか?」 走り出した裕典だ、俺達に訊ねた。 「もしや……兄貴、また勝ったのか?」 「この間から三日連チャンで勝ちましたよ~。プラス7万え~ん♪」 ピッとハンドルから手を離しピースする。
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