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「母さんが、味をしめて本職を疎かにしたあげく、仕事辞めないか心配してるんだよ」
「するか!俺っちはそこら辺の線引きはしてるっての」
「一年前は血迷って『プロになって、あれで食ってく』って言い出して、ついに母さんを泣かせたんだ。ばあちゃんに『なら私を倒してからにしな』って腕相撲勝負で負けたんだ」
「ぶっ……ダッセ~…」
吹き出した助手席の俺の頭を『うるさい!』とペシリと叩く。
「あんな怪力婆さん倒せるなんて、世界アームレスリングチャンプくらいだ。70越えようが衰え知らずの瞬発力とパワーだからな。熊すら倒しかねん」
「ふふ……」
少しだけ、仏頂面だった陽向が笑った。
「俺っち、ニンニクがっつんがっつん入れて食おうっと。ニンニク臭で敵を寄せ付けねえ見えない鉄壁の壁を作ってやる」
「俺も~。たっぷり入れて、明日激臭くなってもいいや」
そんな陽向にホッとして、テンション上がって盛り上がってる、前列の成人男子達の声にかき消されるように…
「それは……非常に困る」
陽向がぼそりと呟いた。
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