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食欲もあまりなさそうだった陽向も、裕太郎ともども受験生応援中の裕典にガンガン入れられ、限界値まで肉を食べたようだ。
今はすっかり、『胃が出てる』と陽向と裕太郎は互いの腹を撫でながら笑っている。
来る時は暗く難しい顔をしていた陽向だが、随分明るく柔らかくなった。
「俺、トイレに行ってくる」
裕太郎が立ち上がり、『俺も』と陽向も一緒に立つと、二人で何かにこやかに話しなが行った。
「相変わらず、注目されてるなあ……あの二人」
裕典は二人の背中と、チラチラと眩しそうに見ている女性達を見て俺に小声で話す。
「どっちも、ルックス飛び抜けてるからな」
「あれだけ注目されても、まわりが全く眼中にないあたりもそっくりだな」
『ぐふふふ……』と肩を揺らせて笑う。
「今日はありがとうな」
「俺は『食って帰る』って家を出たんだ。帰っても何もねえんだぞ。肉を食いたかったし、なら焼き肉に行くか~な発想だ」
「裕典のおかげで陽向が沈まずに済んだ」
それを聞き『まあ……』と言ってから目を伏せる。
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