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「え~……だって間違ってないよね?俺は過去最高に的を得ていたと思うけどなぁ」
「俺も~。義兄さん上手いこと言ったなあって」
裕次郎兄貴と裕太郎は顔を見合わせ吹き出す。
「義兄さん、がっつり我が家の色に染まってきたね……」
「おかげさまで。君のお家は素敵な家族だと思ってるよ」
裕典は呆れたように目を細め、腰に手をあて身を乗り出すように寺河さんを見る。
「はあ?何言ってんの?義兄さんももううちの家族じゃん。俺の兄貴だろ?……ったく、幸せボケして忘れたの?」
裕典にとっては、白か黒かの話なだけなんだろうけど、寺河さんは目を丸くしてから優しい笑みを浮かべ、小さく『ありがとう…』と言った。
それを見ていた裕次郎兄貴は目を潤ませ、黙って向こうを向いて……目元を指で撫でた。
二人にとって、今がやっとスタートなのかもしれない。
許してくれた家族に対しての感謝の気持ちもあるんだろうけど、無条件で純粋に受け入れてくれる裕典や裕太郎の存在は大きいんだろう。
そして、裕典は気づいてないかもしれないが、いつだって欲しい言葉を言ってくれている。
それは無意識のうちに出ているようだから、ある意味すごい特技だよ。
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