6589人が本棚に入れています
本棚に追加
「だから、ばあちゃんはしょっちゅう『裕作より先に死ねない』って言ってる。だけど……」
立ち上がり、陽都くんの器に焼けた肉を入れながら裕太郎は『ふっ…』と笑った。
「なんだかんだ言ったって、本当はばあちゃんもじいちゃんがいないとダメなんだよ。ばあちゃんも負けないくらい、じいちゃんが大好きだからさ。お互い初恋同士だもんね」
裕太郎の言ったことに和みそうになった空気も、
「ツマミ食いなんて発想がないとこがまた、俺とそっくりだね」
「どこがだよっ!!嘘をつくなっ!!」
裕典らしく微妙な空気に変えちまった。
「それはそうと、アッキーに彼女とかいないの?可愛くてモテそうなのに……」
そして、さらに人の話は聞かず、忙しく空気をかき回し、ついには陽都くんまで飛び火した。
「えっ……えと…」
陽都くんは困ったように目を動かす。
「何度か…その…何人かに言われたけど…好きな子がいなくて……でも、だからって付き合うのはおかしいから……断っ……た」
根が真面目な性格だから、“適当”や“とりあえず”なんて発想がないんだろうな。
性格まで陽向に似てるのな。
最初のコメントを投稿しよう!