○今日から前進○

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この兄弟は、そのことについては、きっと口には絶対出したりしない。 だだ、陽都くんの…… そして、しいては陽向の為に、黙って一生懸命になってくれてるのだ。 彼女達は、そんな二人の気持ちは微塵も感じることなく、今のチヤホヤされている状況が当然のような顔をしている。 だいたい、先日この家で自分達の親とあんなことがあったと言うのに、平気な顔で俺達の前に現れ、これ見よがしに良い“おねえさん”アピール。 これはもう、どうこう言うより、今時の女の子らしく“図太い”と言うことなんだろうか? それとも、彼女達が特別なんだろうか? 何が普通なのか、何が普通じゃないのか…… 自分の杓子定規で考えることが間違っているのだろうけど、俺の感覚がおかしいんじゃないかとすら思えてくる。 “身内の贔屓目”のようなものもあるのかもしれないが、あの裕典や裕太郎が必死になってくれているのがわかるだけに…… 悔しく苦しく胸が痛い…… だが、裕典達はこう言うだろう。 『平気だ』と。
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