6591人が本棚に入れています
本棚に追加
一人ずつに抱きつき、目を今にも溢れそうなほど潤ませた陽都くんと別れ、俺達は一応みんなに見送られ玉木家を出た。
「はあ……我慢できん…」
裕典はしばらく行った先のコンビニに寄り、『トイレ行ってくる』と外へ出ようとした。
「あ、俺も……」
俺もそのまま外へ出る。
「おまえらは?」
「ん……後で…」
中を覗いた裕典に、裕太郎がチラリと目を横に動かす。
「あいよ。ゆっくりしてくるわ」
裕典は、立ち止まっている俺の背中を押し店内へ入った。
「悪かったな……陽向の様子を見て止まってくれたんだろ?」
「まあな……やっぱり育つ環境にもよるのかなあ。陽向は俺っちには口が悪いし、人を見て接してるけど、愛情があるからさ。だから、俺っちも陽向を好きになれるし、可愛くも思うわけよ」
雑誌の棚からなんとなく一冊一冊持ち上げ表紙を見ながら、裕典は駐車場に止めた車を見る。
「体ばっかり大きくなっても、中身が子どもみたいに純粋なんだよな……だから傷つきやすい……」
最初のコメントを投稿しよう!