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陽向は色々思うこともあったようだけど、裕太郎と話したことで少し落ち着いたようだ。
さっきより表情もよくなり、ツカツカと俺のところへとやってきた。
「ハル……炭酸買って」
「めっ……珍しいな、おまえにしては」
普段、めったに口にすることはない。
「急にさっぱりしたのが欲しくなったんだ」
それだけ言うと、陽向は店内奥まで行き、何やら選び始めている。
「裕太郎、陽向どうよ?」
そんな背中を見ながら、俺は後ろを歩く裕太郎の腕を掴んで止めると、小声で裕太郎に訊ねてみた。
「ん?大丈夫だよ。早く大人になって陽都くんを支えてやるってさ」
裕太郎はそれだけ言うと、陽向の後ろへ行き、お目当ての物を出してくれるよう頼んでいた。
詳しくは教えてくれなかったけど、きっと二人で色々話し合ったんだろうな。
良いことなんだけど、少し寂しく思うのは、陽向がまた大人に近づこうとしているからなんだろうか?
教えてもらえないからとか、そんなガキっぽいこと……
「子離れに苦労しそうだな」
裕典の呟いた一言が的を得ていて、返す言葉もないよ。
チクショー!
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