○今日から後退しない?○

2/78
6540人が本棚に入れています
本棚に追加
/1932ページ
10月第一週めの土曜日、晴天――― 「いいか、何においてもポジションで全て決まるんだからな!」 と言う裕典の車に、やたら早朝から俺と陽向に裕典と裕太郎、裕次郎兄貴に寺河さんと太中先輩まで乗り込んだ。 乗車定員は8人だからOKなんだけどさ…… (野郎ばっかじゃねえかよ……) 匂いは悪くないんだよ。 ただね、なんか空気が男酸っぱい。 裕次郎兄貴は俺より低いから、日本の成人男子の平均的身長くらいなんだろうけどさ。 裕次郎兄貴に続いて俺の背の順だからな。 みんなでかいのよ…… 頭が冴えきらない様子の寺河さんや太中先輩の頭に突き刺さる、裕典の気合いの掛け声。 「よっしゃぁぁー!!起きてるか、野郎共ぉぉっ!」 「裕典、テンション高すぎ……」 「ハル、今から俺っち達は戦場に行くんだ!そんな低気圧でどうするっ!」 「て……低気圧?」 すっとんきょうな声を上げた太中先輩に『ここは流していいから……』と陽向と裕太郎が重い息を吐く。
/1932ページ

最初のコメントを投稿しよう!