一章:「魔導中立都市」

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 “魔球”とは魔法を扱う為の前段階でできるものであり、この魔球の生成できる数が多いと多くの魔法を発動できる。  この世界では、魔法には魔力と詠唱の概念は無い。  その代わり、魔法は人々のイメージで成り立つ。しかし、イメージだけでは発動までに至らない。 それを可能とする物質が存在する。 ーー”魔素”である。  魔素は空気中に存在し、魔法を使う際に人々のイメージにそって集まり、魔球を生成する。  しかも魔法は細かなイメージをするほど、魔素が大量に消費される。それに比例して威力は大幅に上がる。  さらに複数を同時にイメージするという事は、脳に負担をかける量が増えるという事で効率は良いとは言えない。 ただ、魔球は一般の人間でも一、二個が限界である上に、イメージが上手くできる人間と出来ない人間に別れる為、誰もができる訳でもないのだ。  その点を全て踏まえた上で、ナハトは天才的と言えた。 後はその魔球をどう応用するかが課題だろう。 「ご馳走さま」 そんな考えを巡らせている内にナハトが食事を終えた。 その後、店を三回ほど見渡した後こちらに向き直る 「ねぇ、ポチは?」 どうやらポチを探していたようだ。 「ポチ様ならテラスの方にいますよ。お食事を終えてからずっとです」 「うーん。ポチは少しほっといてもいいかな」  ナハトは紅茶に入っているティースプーンをぐるぐるする。 しかも椅子に片足乗っけてだ。非常行儀が悪い。 「ナハト様、お行儀が悪いですよ!」 ギルはナハトを軽く叱った。その後、割と素直に直してくれた。
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