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「お食事の準備が出来ましたのでお呼びに参りました。それと洋服はこちらに」
ギルの手にはいつ用意したのか、着る為の服を枕元に置いた。
その後「私はお店の準備がありますので」そう言って部屋を出ていった。
ナハトは小さな溜め息をつく。あれからもう一月が立つ。
ポチと出会い、おっさんに連れられこの街に着きーー
そしてギルと出会った。
あれからもう一月なのだ。早いものだ、と思いながらナハトは着替え始める。
黒の線が入った縞模様のニーソにチェック柄のミニスカートに、白いワイシャツと黒のカーディガンという構成だ。
アクセサリーとして黒薔薇のカチューシャをつけた。
ナハトは着替え終わると部屋を出て、階段を降りる。ナハトとギルの部屋等は基本的に二階にある。
理由は一階が喫茶店となっているのだ。
ナハトは一階に降りると先に視界の情報よりも嗅覚からの情報が入ってきた。
コーヒー豆のいい香りがする。
その香りに釣られ、ナハトは店のカウンターにある椅子に座る。目の前には豆を焙煎しているギルがいた。
「相変わらず、綺麗だな」
「ありがとうございますナハト様。それにお客様に不快な思いはさせたくありませんから」
ナハトの一言にギルは感謝の言葉を述べた。以下の通り、ギルは非常に礼儀正しい。
さらにイケメンの長身。
だからこの喫茶店にくる客は、ギル目当ての女性かよほどここのコーヒーが好きな人位だ。
「ところでナハト様。現在魔球は、いくつ生成できるようになりましたか?」
ナハトはその問いに指を六本立てる。
「6つですか。さすがですね!」
パチパチとギルは軽く拍手をする。魔球を6つ、一度に生成して維持できるのは非常に素晴らしい事だ。
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