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「ん?
何か見えたかい?」
青年は赤ちゃんが指さす方を見る。
……が、何も見えない。
「キャッキャッ!」
空を見て赤ちゃんは無性に喜んでいる。
「今日はやけに天気がいいね。
こういう日は『死神』でもでそうだね」
赤ちゃんをあやしながら青年は目を細める。
「だぁ?」
青年が言った事がわかったのか赤ちゃんは首を傾げた。
「フフ。
さて、生徒に見つかる前に帰るか」
そう言って青年は何事もなかったかのように学園から去って行った。
***
『ふぅ。
俺が様子見てたのゆずはに気付かれるとはな。
みんな元気でやっててよかった。
抜け出したのがバレて大目玉食らう前に帰るとするか……。
罰は受けたくないからな』
その様子の一部始終の様子を空から見ていた一人の死神は満足そうに神界へ帰って行った。
***
「!!」
ふとあたしは足を止めた。
「どうした?」
続いて小岩井先輩も足を止める。
「……何か懐かしい感じがしたんです」
くるりと小岩井先輩の方を振り返り言う。
「遥もか?
俺もなんだよな……」
小岩井先輩は気難しそうな表情を浮かべる。
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