†夢から覚めた現実。

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「小岩井先輩……」 あたしは小岩井先輩を見る。 小岩井先輩とは出会って間もないけど何だか壮絶な経験した……ような気分。 でもそれが何なのかわからない。 「コホン!」 あたしを見て小岩井先輩はわざとらしく咳払いをする。 「ん?」 何で咳払い? ……と、思いつつ小岩井先輩を見つめてみる。 「そろそろ……下の名前で呼んでほしいな……なんて」 あたしを見つめたまま耳まで真っ赤にして小岩井先輩は頬をポリポリとかいている。 そう言えばあたしずっと『小岩井先輩』って呼んでたなぁ。 「はい! 信太郎さん!」 元気良く返事してあたしは小岩井先輩……いや、信太郎さんの名前を呼ぶ。 「照れ臭いけどそっちがいい」 あたしに名前を呼ばれて信太郎さんは満足げな笑みを浮かべる。 「ふふ!」 信太郎さんの笑顔を見てあたしも笑みがこぼれた。 信太郎さんが笑うとあたしも嬉しくなる。 これこそ、笑顔の伝染ね。 あぁ。 我ながらクサクサな事言ってますねぇ。 「!!」 昇降口に入る寸前で驚いた顔で信太郎さんはふと空を見上げた。
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