トモミ

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あるインターネットサイトで知り合った女性と、チャットルームで話すようになって数カ月。 文字だけの世界だが、ホンワカした雰囲気と気配りの出来る優しい性格がうかがえ、彼女に対して淡い恋心に似た感情を持つようになっていた。 彼女のハンドルネームは“トモミ”。本名だと言った。 流行りのアイドルと同名と言う事もあり、僕の妄想は膨らんで行く。 一度そういった感情を持ってしまうと文字だけの世界では満足できなくなってしまい、顔を見たい、実際に会って話がしてみたいと強く思うようになって行った。 そんなある日、会話の流れから『会いたいね』と呟いてみると、彼女から『そうね』と即答があった。 有頂天になった僕は勢いに任せ半ば強引に会う日取りや場所などを書き込んだ。 返事が無い。 社交辞令だったのかと諦め『冗談だよ』と書き込む為、キーボードに指を置く。 すると… 『とても楽しみ!何を着て行こうかな?』 ピンク色の文字で書きこまれた。
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