27人が本棚に入れています
本棚に追加
『フランの様子はどう?』
綺麗な月の下、紅い館のテラスで月を見ながら背中に蝙蝠のような両翼を携えた蒼髪の少女はふと問いかける。
『・・・いつも通りだったわ、いえ、それ以上ね』
その問いに答えたのは紫色のまるでパジャマのような服を着た半目の少女だった。少女はテラスにある白い椅子に腰掛け、ふぅ・・・とため息をつく。
蒼髪の少女は紫色の少女の答えを聞くや否や振り向き
『遠回しに言わなくていいわ。それで・・・どうなの?』
と聞き直す。一見蒼髪の少女は冷静で凛としたように見えるが彼女の長年の親友である紫色の少女にとっては必死にその態度や表情を取り繕っているように見え彼女も顔をしかめる。
『・・・正直かなり不味いわ。どんどん自我がなくなってる。』
彼女の言葉にまるで鈍器で殴られたような感覚になった蒼髪の少女だが若干震えた声で
『何か・・・あの子を救う方法はないの?』
と聞くと紫色の少女は無言で机の上に一冊の本を出した。
『これは・・・?』
『先日『図書館』で出てきてね・・・』
最初のコメントを投稿しよう!