chapter1 邂逅

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人混みがやね少なくなったあたりでようやく彼は動き出す。 すると目の前に黒い物体が落ちているのを見つけ手に取った。どうやら財布のようで中身を確認する。 中身はまだあり何やら保険証等大事なモノも入っていた。 彼の中に一瞬「盗む」という考えが浮かぶが彼は駅員の所へ向かい 『すいません、これ階段付近に落ちていたのでよろしくお願いします』 と黒い財布を駅員に渡し微笑して軽く会釈するとその場を後にする。 (少しだけとっときゃ良かったな・・・) 横断歩道の前で信号機の色が変わるのを待ちながら若干後悔しながら心の中で嘲笑する。 信号機が青に変わり横断歩道を渡るべく歩き出すと不意にクラクションの音が聞こえ 『うおっ!?』 目の前を車が通りすぎていった。いわゆる信号無視である。 (ぶち壊されてーのか、アイツ・・・) と思いつつ彼は再び歩き出す。 しかし彼にはそんな力もなく、ただぶつけようの無い怒りを抱えながら歩いていた。 途中、愛用の目薬がなくなっていたことに気づいた彼は薬局によっていた。 何故目薬かと言うと彼はコンタクトレンズをしているのだが目が乾きやすい、いわゆるドライアイなのだ。 その為目薬で水分を補っていた。
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