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『本当に成功するの?』
『えぇ、狂気の肩代わりは大方終わったわ』
とある部屋の中、二人の会話が響く。
『大丈夫なの?後でまた飲み込まれるというのは・・・』
『大丈夫よ、この子はとても大きな自分の狂気を閉じ込めてきた。一つになった事で自然とあの子の楔にもなる。とはいえこの子はもう起きないかもしれないけど・・・』
そしてしばらくの沈黙の後
『フラン・・・』
と心配する声が部屋の中で響いていた。
ーーーーーー
『ん・・・』
彼は目を覚ます。暗い、何も見えない闇の中で。
そこは酷く冷たく、不安にさせるような場所だった。
が、不思議と彼は不安にも混乱もしなかった。
彼は周りに何かないかと探すがやはり何も見つからず、ただただ闇が続いていた。
彼は慎重に歩き出す。
どれ程歩いただろうか、少し先の方に人影らしきものを見つけた。暗闇だというのにそれは彼にはくっきりと見えていた。
急いで走り寄ると・・・
『さっきの・・・』
そう、先程彼が見た女の子が立っていた。
しかしその容姿は黒く所々に紅い模様が入っていた。
女の子は彼に気づくと笑みを浮かべ走りよって来た。
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