王子は常に引き連れて。

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「それよりもあんた、外で待ってる人がいるようだが?」  小瓶を丸いフラスコに流し込みながら魔女さんはいい放つ。魔女さんが王子様の方には向かずフラスコを振っていると、  ―――ドン!  ドアを弾き飛ばし、ぞろぞろと女性の集団が魔女さんの家に流れ込む。 「王子様っ!早く行きましょうっ!!」 「そうだぞ、王子!私を待たせるとは何事だっ!」 「……王子、お腹すいた」  早々に綺麗な女性達は王子様を無理矢理魔女さんの元から引きはがしていく。  ある女性は豪華に着飾った気品漂う女性。その首元には王子様とは敵国であった王族の紋章が刻まれたペンダントを。  またある女性は野生味溢れるなかに気高さを持つ女性。その腕や脚の素肌には純白に煌めく竜の鱗を。  またまたある女性は無垢な瞳に幼い容姿を持つ女性。その口元に血を吸う牙と背中に漆黒の羽を。  みんな違った魅力を持つ女性たちによって王子様は連れていかれそうになるが踏ん張る。 「魔女さまっ!」  女性たちに揉まれながらもなんとか王子様は魔女さんに声をかける。自分の告白を聞くために、魔女さんの声を聞くために。  魔女さんはふぅと息を吐く。  作業台に向いたままだった魔女さんは王子様を見つめて、 「次は巨人族と小人族の雌の乳歯をよろしくなー」  いつものように心のない声で難題を押し付けるのでありました。  そのときの王子様の可愛い顔は真っ赤で。小柄な身体は力も抜けて、女性たちになされるがままに引っ張られていった。
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