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「な……んで、知ってるんですか?」
動揺してよろりと倒れそう。
神崎さんはつまらなそうな顔をする。
「うちの会社の人間なら誰でも知ってるでしょ。あれだけ目がハートになってたら。みんな“深愛ちゃんは若いなぁ、傷つかないといいなぁ”とか言ってるよ」
顔がバババっと赤くなった。
は、恥ずかしいっ。
みんなに知られていたなんて。
しかも明らかに、フラれる前提で憐れまれているじゃない!
「だから俺にしときなよ。俺なら今すぐそっこーで甘やかしてあげるけど?」
甘々フェイスでウィンクなんかしてやがる。
あげるって、その上から目線はなんですか!
恥ずかしいやら、情けないやらでテンパって、仕事中だっていうのに叫んでしまった。
「神崎さんなんて好きになんない! わたしは朝比奈社長にチョコを渡すんだから!」
わたしと神崎さん、やっちゃんに警備員さんだけがいる閑散としたロビーに思いの外、声が響いてしまった。
赤くなっていた顔が今度は青くなる。
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