第1話 好きになんない!

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「俺、こんなに無視されたことってないんだけど、どうしたら振り向いてくれる?」  なるほど、しつこく食い下がるのは、わたしが簡単に落ちなくて珍しいからかも。 「今振り向きましたけど。あっちからこっちに」  エレベーターの方を向いて、そのままぐりっとロビー入口に顔を向けたら、神崎さんはきょとんとした後、お腹を抱えて笑い出した。 「あははっ、やっぱりおもしろい」 「やっぱりってなんですか!」  元気な笑顔キャラって言われても、やっぱりおもしろいなんて言われるようなお笑いキャラじゃないですよ! 「なんでもない。じゃあ、またお昼ね。俺急ぐから」  急いでいるなら足を止めるな。  社長のように颯爽と去ってくれ。  爽やかに手を振りながら去って行く神崎さんの姿に、小さく「いーっ」の口をした。
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