第1話 好きになんない!

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「俺にもチョコちょうだい」  待合ソファからカウンターに戻ったところであり得ない人に声を掛けられた。  だってお昼にはまだ早い、勤務時間中。  どうして開発のあなたがここにいるんですか。 「あげません」  冷たく言い放っても、神崎さんは笑って肩を竦めている。  甘い顔を甘い笑顔でラッピングして、製菓会社にぴったりの人材ですね。 「ケチー。まあ、バレンタインにもらえればいいけどね」  言われて、あ、そっかって気づいた。  あと一ヶ月もすればバレンタインなんだ。  冬っていうとボードのイメージしかないわたしの頭の中は毎週末行っているスキー場のことしかない。  やっぱりチョコをあげるとしたら朝比奈社長だよねぇ。  うっふっふ。  ニヤついてしまうわたし。
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