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「俺にもチョコちょうだい」
待合ソファからカウンターに戻ったところであり得ない人に声を掛けられた。
だってお昼にはまだ早い、勤務時間中。
どうして開発のあなたがここにいるんですか。
「あげません」
冷たく言い放っても、神崎さんは笑って肩を竦めている。
甘い顔を甘い笑顔でラッピングして、製菓会社にぴったりの人材ですね。
「ケチー。まあ、バレンタインにもらえればいいけどね」
言われて、あ、そっかって気づいた。
あと一ヶ月もすればバレンタインなんだ。
冬っていうとボードのイメージしかないわたしの頭の中は毎週末行っているスキー場のことしかない。
やっぱりチョコをあげるとしたら朝比奈社長だよねぇ。
うっふっふ。
ニヤついてしまうわたし。
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