第2話 お姉ちゃんとわたし

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「お夕飯作ってあるよ~」  キッチンに入っていくお姉ちゃんに、起き上がって声を掛けた。 「ありがとう。でも気にしなくていいのよ、本当に」  お鍋の蓋を開けているお姉ちゃんの顔が嬉しそうに綻んだのを見て、わたしも嬉しくなった。 「いいよ、ひとり分もふたり分も大して変わんないから」  誰かが食べてくれると思うと料理は楽しいんだってことを、最近になってようやく知った。 「ありがとう」  カウンター越しのお姉ちゃんは、立派に成長した子供を見るような目つきでしんみりとこっちを見て微笑んだ。  その笑顔は本当に愛情に溢れていて、お姉ちゃんって優しくて大好きだなぁって思う。  会社では笑わないし厳しいから氷の女王なんて言われているけれど、本当はとっても心が温かい人なんだよ。  みんなにもこの笑顔を見せてあげたいな。
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