第1話 好きになんない!

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 ポツポツとした人の流れがどんどん分厚いものになっていく。  わたしとやっちゃんは、にこにこ笑顔で挨拶を繰り返す傍ら、事務手続きをこなしていった。 「深愛ちゃんはいつも笑顔でいいね」  こちらは広報の部長さん。  お子さんとわたしが同じ歳だということで娘のようにかわいがってくれる。 「ありがとうございます」  この仕事は好き。  笑顔で仕事をしていると楽しいことをしているような気分になるから。  笑顔だから楽しいのか、楽しいから笑顔なのか。  よくわからないけれど、元々なんでも笑顔で乗り切っちゃうわたしの性には合っているなぁと思う。  まぁ、辛いことがないとは言いませんけれど。
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