とある日。

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両親が死んでから落ち込んでいた俺たちに、皆は優しくしてくれた。 特に、弟の学校の先生とその家族は自分たちを、本当の家族のように扱ってくれた。 自分と弟と先生の息子の玲音君は、よく3人で遊んでいた。 祭りにも行った。 しかし、ある日、自分は進学のために、親戚のところで暮らすことになった。 弟と別れて。 このときから、少しずつ弟はおかしくなっていった。 弟は中学生になり、少しずつ世の中を知っていく。 “死”を知った。 更に、弟は両親が自殺したことでいじめられた。 自分は先生から電話を受け、弟と話し合ったりもした。 このときの弟は、異様なほど明るかった。 思い出した。 この頃からだ。 弟が2年生に上がり、学校に行かなくなった。 自分は先生から電話を受け、弟と話し合ったりした。 弟は異様なほどに、明るかった。 それを見て、自分は安心してしまった。 自分は見落としたのだ。 弟の精一杯のサインを……。
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