ある日。

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「あなた、誰!?」 声が震えていた。 「……」 ナイフを持っていない腕が、女の首を掴んだ。 「うっ……! ……るし……い……」 女はそう言いながら、洗っていた包丁を手探りで握り、ナイフを掴んだ腕を切りつけた。 腕からは血が出た。 突然、ナイフが女の首を捉えた。 ナイフは、もう一方の腕に握られていた。 首から血が吹き出した。 女は叫びながら、後ろに倒れた。 包丁が床を跳ね、倒れた女の手を傷付けた。 女が洗っていたであろう皿に、赤い線が走った。 動画は、キッチンの前のリビングに行き、テレビを点けた。 動画は、テレビを向いたまま、下に下がった。 テレビでは、バラエティー番組をやっていた。 テレビの横に、デジタル時計が置いてあった。 時刻は“10:43”と表示されていた。 それから7分間、動画はテレビ番組を撮し続けていた。
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