ある日。

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50分になったとき、玄関のドアが開いた。 「ドタッ、ドタッ」 少しずつこちらに近付いて来た。 動画は後ろを振り向きながら、上に上がった。 ソファーの前に置いてあるテーブルには、腕から垂れていた血が付いていた。 しかし、血は止まっていた。 「玲音は、っと。もう寝てるか」 動画は、ゆっくりと声のする方に進んでいった。 血の止まった腕が、ナイフを掴み、もう一方の腕がドアノブを掴もうとした。 その時、ドアノブが回り、ドアが開いた。 「何だ。出迎え……」 男がそう言いながら、固まった。 腕は、ナイフを構えて男の首を捉えた。 しかし、男も腕をとても強く掴んだ。 「お前、誰だ! 妻はどうしたー!!」 ナイフを持った腕は素早く引かれ、見えなくなった。 そして、もう一方の腕が男を殴った。 男はよろけて転び、鞄を落とした。
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