とある日。

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ソファーで、1人の男が座ったまま寝ていた。 そこで、自分が夢を見ていたことに気付く。 ゆっくりと立ち上がり、眠気覚ましも兼ねて風呂場に行った。 洗面所で服を脱ぐ。 腕には傷がある。 ある一家にやられたものだ。 風呂場に入り、シャワーを出す。 シャワーを浴びながら、腕を触る。 手が、その深い傷に触れる。 傷が何故出来たのかを思い出し、夢と照らし合わせる。 ある日この男は、自分を捨てた家族たちが暮らしている家に行った。 フードを被り、ナイフを持ち、10時30分に家に入った。 鍵は、昔と替わっていなかった。 玄関の金魚は、弟、玲音と祭りで捕った想い出だ。 自分の部屋は、玲音と半分だった。 ある日は、玲音のネームプレートしかかかっていなかった。 帰ってきてリビングに入ると、母はいつも微笑んで、「お帰り」と優しく言ってくれた。 ある日は言ってくれなかった。 父は帰ってくる時、必ずお土産を買ってきてくれた。 ある日は買ってきてくれなかった。
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