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「留学生だったんだ…」
「道理でそのダッサいエプロン付けてると思ったぜ」
「サトルさん酷いよ!店長エプロンはダサくないもん!!」
―留学生ってより肉まん先輩のエプロン着た奴って認識になってるよな、今の俺…
ピザまんが何とも言い難い気分に陥っている所で、側にいたサンドイッチとおにぎりが彼に耳打ちした。
「びっくりしたでしょ、何かごめんね…」
「い、いえいえ!それより、あのお客様は常連さんなんですか?」
「え?」
「いや、皆さんお名前知ってるみたいだし…」
「はい、常連さんですよ。女の子の方が藍川サトリさん、男性の方は藍川サトルさんといいます」
「アレ?名字が…」
「そう!あの二人ね、兄妹なんだ」
なるほど、確かに髪や目の色、雰囲気などが似てるなとピザまんは思った。
「本当にごめんね!え、えーと…」
「俺はピエールって言います。まあ、ここではピザまんですけど…」
「ピザまんくんね?私は藍川サトリです!さっきは本当にごめんねっ!?」
「いえ、お気になさらず……?」
「くっくっく……」
"何か声が聞こえる"と感じたピザまんがそちらを見ると、サトリの脇にいるサトルが口を押さえて小刻みに震えている。どうやら笑っているみたいだ。
「えっと…あの…?」
「ああ、わり。いやちょっと…ふふっ」
「…?」
「ピエールだからピザまんって…お前…安直過ぎ…ははっ」
「………」
―それは俺も思ってたんじゃーい!!
とは言えず、ただ黙って苦笑するしかないピザまん。
「む、安直とは何じゃ。世の中には"シンプルイズベスト"という言葉があることを知らないのかサトルよ」
「わっ、店長!?」
「だから急に話に入るなよ…」
肉まんのショーケースの中から会話に参加する店長YUKAWAと、それにツッコむあんまん。
「おお、主はそれを着たのか」
「え、それ?」
「それのことじゃ、それ」
「"それ"じゃわかんねーよ店長」
「だーかーらー、肉まん特製店長エプロンのことじゃ!一発で分かれ!」
「「分かるか!」」
「そうそう店長ー!そのエプロンねー、みんな貶すんですよー!絶対可愛いのにーっ」
店長に愚痴る作製者肉まん。しかし、本人の意見は意外なものだった。
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