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うつ伏せ状態のまま、男のスニーカーを履いた左足に包丁を突き立てた。
グギュ、ジュギュ………。
靴の皮と足をナイフが貫く生々しい音が、刺すのと抜くのと2回。
「ぐああっ!!」
野太い叫びが地面に響き渡り、うつ伏せてるあたしのお腹にもその悲痛が伝わる。
男の左足の靴紐に、じんわりと赤い液体が滲む。
高速な呼吸と共に肩を激しく上げ下げしながらも、あたしは包丁の先を男に向けた。
「こ、こな……こないで」
濡れた唇がひきつる。
唾を飲み込んだ時、湿気のせいか何なのか喉が焼けそうだった。
次の瞬間。
へらへらと無気力に笑いながら姿勢を正していた男が、
突然鋭い目付きで、襲いかかってきた。
「いやあああっ!!」
あたしは力いっぱい叫び、
目をくいしばり、
猛獣のように突き進んでくる物体めがけて、肘を真っ直ぐ伸ばした。
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