1688人が本棚に入れています
本棚に追加
膝を笑わせるナオ君に、テツロウさんはため息をついて、
「お前に死体隠滅なんてハイスキルなこと務まんのか?
チビるに決まってるよ」
と、のんびり言った。
「で、出来るさ」
すかさずナオさんが胸を張って言い返すものの、その表情は大分強ばっていた。
何が起こってるのか、あたしにはよくわかんない。
話のスピードが速すぎて。
でもあたしが話を飲み込むスピードが遅いから、速く感じるんだ。
「ねぇ、テツロ、さん……」
あたしは黒ヘルメットに、
「あたしは、どうしたらいい、の……?」
と、喘ぐように聞いた。
「他人に頼んな。
お前が俺達に頼っていいのは、自分が100パーセント不可能だと判断出来ることだけだ」
淡々と述べる彼の言葉に、あたしは衝撃を受けた。
出来ないことは、頼っていい。
それはつまり、死体を処理すること。
この道路にこびりついた満面の血を、なんとかすること。
出来ることは、やる。
これからどうするかは、あたしが決めなきゃ何も始まらない。
最初のコメントを投稿しよう!