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信用してない訳じゃない。
でも、何かにすがりたくて。
「ねえお兄さん達お願い……助けて」
「大丈夫だよ。元々君は悪くないんだし」
へたりと座るあたしに近づいたナオさんは、
あたしの乱れた浴衣を、壊れ物を扱うようにそっと直し、
「守ってあげるから」
そう言って、ニコリと、雨の夜には似合わない暖かい笑いをくれた。
「……っ、ぅえ」
優しい言葉をかけられたあたしはまた泣きそうになり浴衣の袖で目をこすった。
横には、お腹に赤黒い穴が空いた死体。
あたしが守られることが正しいのか、間違ってるか、どうでもよかった。
例え間違ってても、差し伸べられた手を掴んだ。
「テツロウも、協力してくれるんだよな!?
力貸してくれよ」
ナオさんは勢いよく立ち上がり、黙ってズボンのポケットに手を入れるテツロウさんに叫んだ。
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