天の川

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ピリリリ。 蒸し暑い静寂の中、あたしがかぶってる灰色パーカーから着メロが鳴った。 「ナオ、さん。これ」 ごそごそとパーカーをあさり、あたしはナオさんのであろう携帯を取りだし、彼に差し出した。 「多分テツローからだ」 決意を露にした表情で、ナオさんは赤いスライド式携帯をスクロールさせた。 「なんて、言ってた……?」 聞くと、ナオさんは携帯をスライドさせ、渋い顔をあたしに見せた。 ぐっと両方の拳を握り、ナオさんは男の死体に近付いていく。 「物買う前に死体を隠しとけって。 だからあそこの原っぱに隠そうと思う」 一言一言置いて言いながら、彼は空き地の原っぱを指差した。 「君は先にバイク乗ってて」 爽やかに煽られたけど、ナオさんはこれから死体を暗い原っぱに移動させようとしてる人。
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