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あたしはすがるようにナオさんの片腕を引っ張った。
「あたしも手伝う」
「や、でも君女の子だし……」
渋るナオさんと、引き下がらないあたし。
「でも」
自分は他人任せ、なんて狡い女に生まれたつもりなんかない。
「大丈夫だって、転がすだけだから。
ふー……よしっ」
ゴロゴロ、ドスッ。
巻いたカーペットのように、亡きストーカーの体はナオさんの手によって転がった。
草むらに男の足が完全に隠れるまで、あたし達は道路の真ん中に立ちっぱだった。
「……」
「さ、い、いくよ」
ナオさんはもうガクブルで。
絶対無理してる。きっと内心穏やかじゃない。
だって死体触るの、勇気いる。
複雑な表情で草むらの茂みを眺め、あたしは手を引かれた。
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