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道の横に止めてあった、赤と黒の、パンチの効いたバイクの後ろに乗らせてもらった。
その時初めて、あたしの前に乗った彼が青いヘルメットを脱いだ。
多分だけど、雨が上がったからヘルメットの必要はなくなったんだ。
ダークブラウンの、チワワのような二重まぶた。
暗闇に生える茶髪は、ふわふわと柔らかそうで煌めいていた。
繊維が細かな肌、薄い唇。
全体的に整ってて、甘い顔。
何よりもクリクリした目と、スラッとカーブを描く鼻が印象的。
「ヘルメットも貸してあげるから、はい」
「う、うん、ありがと……」
成されるまま、ヘルメットで顔を隠され、顎にベルトのような金具をしっかりつけられた。
仕上げに血が付いた浴衣の上半身を隠すように、あたしはナオさんに借りたパーカーをかぶった。
「じゃあ、しっかり掴まってて」
ナオさんの合図と共にエンジンの音が響き、身体中を大量の風が突き刺さり始めた。
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