天の川

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。。。。。 ナオさんの運転でまず初めに向かったのは、あたしの住むアパート。 「ここで待ってるから、着替えといで」 彼は唇に弧を浮かべ目を細めて、階段の近くにバイクを押して止めた。 頷いたあたしは人がいないのを確認し、下駄を履いたままの足でカンカンと階段を上がり、 ウサギ小屋同然に古臭い自分部屋のドアを開けた。 ここのアパートは運がいいことに、七夕祭りに精神を注いだ老人住民がほとんど。 部屋に早足で入り、帯を不慣れな手つきで巻き取り、浴衣ごと畳の上に脱ぎ捨てた。 タンスをおもむろに開き、黄色いTシャツと青のショートパンツに着替えた。 こんなこと、いいのかな。 許されるのかな。 あたし、死んだら地獄かな。 不安に溺れ、何度も転んだけど、物置部屋からなんとかライターと新聞紙の束を見つけ、ありったけ抱えた。
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