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靴箱からピンクのスニーカーを出し、サンダルのようにかかとを踏んで外に出た。
お帰り、という少年の笑みを投げ掛けてくれたナオさんとあたしで、新聞紙を半分ずつ分けた。
「火、つけるよ」
上目遣いにライターを見つめてからスイッチを入れたナオさんが、理科の実験が得意な男の子みたいだった。
ボウッと、新聞紙に火が付き、どんどん連鎖していく。
そして、浴衣と下駄に、静かに引火するのを見送る。
バチバチと耳障りな音と一緒に、灰の匂いを交えた熱い煙が宙を漂って。
日にち違いの送り火のように、暗闇に際どい赤が燃える。
浴衣は布だし下駄は木材だから、真っ黒に燃えてくれた。
めらめら揺れる熱気に、あたしもナオさんも顔をしかめた。
「君、名前は?」
茶髪を熱風にたなびかせ、足元で燃え盛る炎を見つめたまま、ナオさんはあたしの名を求めた。
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