天の川

38/68
前へ
/338ページ
次へ
隣の彼に対し、あたしは唇を動かした。 「坂巻……瑠子」 サカマキ、ルコ。 ルリでもリコでもない、ルコ。 「ルコちゃん。いい名前だね」 ナオさんはその大きい目を見開いて笑ってくれたけど、あたしは笑える気分になれなくて。 それを察したのか、ナオさんは隣にいるあたしから視線をアパートに移し、 「ルコちゃん、火消さないと、さ。バケツある?」 とあっけらかんに言い、にこりとした。 あたしは前に友達と花火をした時に使ったバケツが、アパートの裏庭のようなスペースにあるのを記憶していた。
/338ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1688人が本棚に入れています
本棚に追加