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雲という暑いベールが、せっかくの星空をもくもく隠す。
湿気も増し、なおかつ濡れてくあたしの体。
織姫と彦星は、きっと周りで見られたくないことしてるんだろーな。
なんて、感傷にひたってみて。
幻想的ロマンチックを否定する、典型的な現代人の、
あたし。
ザー……。
本格的に降りだし、あたしは下駄をいっそう早く鳴らした。
向かう先は、半年ほど住んでるアパート。
「そろそろ大丈夫、だよね…」
キョロキョロと辺りを見渡し、祈り通り人影がないことを確認する。
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