天の川

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再びあたしはナオさんについていき、バイクに股がる。 団子の髪にぶつかる青いヘルメットは、少々に息苦しい。 「ねぇ、後悔してる?」 あたしが返したパーカーを着たナオさんに、おずおずと問いかけた。 「何を?」 「あたしを、救ってること」 「困ってる人を救うのが、悪いこと?」 「だって、あたしに手を貸すなんて、そんなの正義じゃない」 「警察だって正義じゃないよ。それは歴史やニュースが証明してる」 「……」 よくよく考えれば、あたしはやっぱり最低でズルい。 過ちから目を背け、他人の優しさに逃げてる。 タイヤが段差に躓いたのか、バイクは大きく振動し、無意識にナオさんの背中に抱き着いた。 あたし達を乗せたバイクは、人気のない住宅街から信号の多い十字路に抜けた。
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