1688人が本棚に入れています
本棚に追加
。。。。。
1時間後。
あたし達を乗せたバイクは、目映い信号と車の光が飛び込んでくる道路を渡り、
大きなホームセンターの駐車場入口に、ゆるゆるタイヤを滑らせた。
バイクを自販機の近くに止め、バイクから降りたナオさんは唇を緩く結び、
後ろでちょこっと座るあたしに、「降りたら、ヘルメット取っていいよ」と言った。
言われてヘルメットを両手で持ち上げようとはするけれど、肘から下がびっくんびっくん震えて。
いけない。
不自然に振る舞っちゃうと、周囲の人達に怪しまれる。
今この瞬間1秒1秒が、誰かが挙動不審なあたしを記憶の片隅に刻まれると思うと。
背筋に冷水を注がれるような、寒気。
不安で押し潰されそう……。
「行ける?」
ハの字に眉を下げたナオさんが首をかしげ、持ち上げたヘルメットで上半分隠れたあたしの顔を覗いた。
最初のコメントを投稿しよう!