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「俺すぐ買ってくるから、どうする?ここで待ってる?」
ここ、と言うと同時に、ナオさんはバイクの座席をポンポンと叩いた。
「え、でもナオさん」
「ナオでいいよ。無理なら君づけ」
「じゃあ……ナオ君、お願いできる?」
ごめんなさい。
弱虫でごめんなさい。
申し訳なさすぎる。
あたしは2人にどんなお詫びをすれば、満足されるのだろうか。
土下座一生分だろうか。
身体だろうか、金だろうか。
どのみちにしろ、あたしに“希望”“再スタート”という鮮やかなくす玉は用意されてない。
「任せてよ。あ、ごめんなさいは聞かないからね」
あたしがごめんなさいの『ご』の口の形をした時、ナオさんはあたしに灰色の背中を向けていた。
ボランティア精神か、偽善か。
ナオ君はとんでもなく優しい人だと、あたしの中では定着し始めていた。
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