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ホームセンターの駐車場で歩く数人の客達は、こそこそとその場を去った。
「何あれケンカ?」
「やばくない?店の人にきてもらう?」
若い女性らの黄色い声が、あたしの背中を通りすぎていった。
ナオ君が飛び付くようにあたしに詰め寄り、あたしの両肩を掴んだ。
「ルコちゃん、何もされてないよね!?」
「う、うん」
「間に合った…よかった……」
殴った直後は鬼のような形相だったナオ君は、しおれた野菜のように崩れた。
ほんのひとかけらだけど、
あたしはナオ君にときめきを感じた。
「ナオ君、ありがとう……でも、人来ちゃう」
そう言った直後。
「ひぎっ」
男が倒れた方から、また大きく呻き声が跳ねた。
視界に映る、黒いバイク。
それに乗った、カラスのような出で立ちの男。
ナオ君のより一回り大きいバイクに乗ったテツローさんが、男の足をタイヤで踏み潰そうとしていた。
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