天の川

47/68
前へ
/338ページ
次へ
ホームセンターの駐車場で歩く数人の客達は、こそこそとその場を去った。 「何あれケンカ?」 「やばくない?店の人にきてもらう?」 若い女性らの黄色い声が、あたしの背中を通りすぎていった。 ナオ君が飛び付くようにあたしに詰め寄り、あたしの両肩を掴んだ。 「ルコちゃん、何もされてないよね!?」 「う、うん」 「間に合った…よかった……」 殴った直後は鬼のような形相だったナオ君は、しおれた野菜のように崩れた。 ほんのひとかけらだけど、 あたしはナオ君にときめきを感じた。 「ナオ君、ありがとう……でも、人来ちゃう」 そう言った直後。 「ひぎっ」 男が倒れた方から、また大きく呻き声が跳ねた。 視界に映る、黒いバイク。 それに乗った、カラスのような出で立ちの男。 ナオ君のより一回り大きいバイクに乗ったテツローさんが、男の足をタイヤで踏み潰そうとしていた。
/338ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1688人が本棚に入れています
本棚に追加