天の川

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「テツ!!」 ナオ君が満面の笑顔で、テツローさんに走り寄った。 続くようにあたしも走る。 途端、テツローさんが無表情のまま、ナオ君の足を爪先で蹴った。 「いっってえ」 「ナオ。二度と人前でヤマ起こすな。 バカかお前は」 「だ、だってよう、ルコちゃんほっとけなくって」 いじいじと地面を蹴るナオ君に、テツローさんは短いため息を吐いた。 「ふ、2人共ありがとう」 2人は、あたしを助けてくれた。 のかは、よくわからないけど。 「例え殺しの目撃者だとしても、あの震えようならヘーキだろ」 タバコの煙を吐き出すのに似た仕草で、テツローさんはまたため息。 大丈夫かな……。 さっきナオ君が殴り、テツローさんが蹴ったロン毛男が、あたしがストーカーを刺したの、見てたとしたら。 一貫の終わり。 それにテツローさんとナオ君は、どういう関係なんだろう。 友達?兄弟? それに。 「兄貴が警察官って……テツローさん本当?」 思いきって、あたしは聞いてみた。 家族に警察官がいる男を、信用して大丈夫なんだろうか。
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