天の川

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崖っぷちを、行ったり来たり。 あたしの不安は、いつ解消されるのかな。 それ事態がもう、不安。 「ああ」 その無機質な肯定に、あたしの瞳が揺れ動く。 動揺するあたしを見かねたテツローさんは、あたしが被っているヘルメットの上に手のひらを乗せ、 「警察に売ったりはしねえから、安心しとけ。あと、あのチンピラはナンパしてただけだ」 と、さっきと変わらぬ無表情で言った。 よかった……。 肩の荷が、ドサドサと降りた。 だけどまだ、あたしは全然安心じゃない。 ううん、この先ずっと、 安心できない。 安心は過去の思い出になって、思い出す度に憂鬱になるものになる。 永遠に安心出来ない人生。 いつ捕まるか、毎日インターネットやテレビにかじりつき、情報に敏感になる。 そんな人生嫌だと思った。 でも仕方ない。
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