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上を見上げると、幾千の星々。
雨が上がって、天の川がキラキラ、綺麗。
信号待ちの時だった。
赤信号の先頭でアクセルを緩めたテツローさんが、肩に掛けていたサブバッグから何かを取り出した。
黒光りのそれを右手に持ち、斜め上にかざしている。
「ナオ君、あれ何してるの?」
徐々にナオ君もブレーキを踏んだ頃、あたしはテツローさんを見て言った。
ナオ君は思い出を懐かしむような表情で、
「写真撮ってるんだよ」
と言った。
「写真?」
「うん。
テツはね、カメラマンなんだ。
綺麗なもの見ると、すかさず撮っちゃうらしいよ」
「……そうなんだ」
カメラマン、か。スキャンダルの?それともグラビア?風景?
ナオ君の背中の向こうに、カメラを手際よくバッグにしまうテツローさんの背中がちらついた。
謎めいたカメラマンの彼は、この天の川の綺麗さをどう捉えたのだろうか。
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