天の川

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そして、数十分後。 ようやく空き地に着いた。 鬱蒼とした空き地には、手入れの行き届いてない雑草がぼうぼう生えていた。 ストーカーが倒れていた直径一メートル付近の血溜まりは、闇と雨のおかげか目立ってない。 かなり体力消費したと思っても、これからだ。 「ナオ、ルコ。こっちこい」 黒い髪を夏の風に浮かせたテツローさんは、電柱に停めた黒いワゴン車のベッドライトを叩いた。 カメラマンだから黒が好きなのかなと思ったら、ちょっと納得した。 そして、 多分あのワゴンに、ビニールシートで巻かれた、死体が。 「七夕祭り楽しかったね」 「来年もまた来ない?」 「行く行く!!」 周りにはぼちぼちと、浴衣姿の女子やハッピを着た小学生がいる。 あたしは、他人の視線にびくびくしながら、バイクから降りた。 見ないで、お願い。 あたし達に気づかないで。
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