天の川

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その時、左腕にぬくい空気を感じた。 茶色い柔らかそうな髪をたなびかせた、ナオ君だった。 「大丈夫だよ、みんな七夕祭りの余韻に浸りっぱなしだし、俺達を怪しいと思ってない」 そう優しい声でフォローされ、 あたしはまた、泣きそうになった。 ナオ君は、あたしに安心を与えるのが上手い。 「うん」 一息ついてから、あたしは車のスライドドアを力強く引っ張るナオ君に続いた。 バタン、と扉が閉まると、車らしいタバコの匂いが鼻をついた。 運転席にテツローさん、助手席にナオ君、後ろにあたしが座った。 あたしの体の横には、ナオ君がホームセンターで買った品々が積み込まれてた。
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