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あたし達と冷たいストーカー男を乗せた車は、空き地を離れ、どんどん闇を進んでいく。
音楽は一切かけなかった。
誰も「かけよう」と提案しなかった。
ただ、暗い沈黙だけ。
それだけ。
刺した感覚、男の泣き叫ぶ声、雨の湿気。
「う、ううぅ」
こらえてたものが一気に溢れだし、あたしは涙の雫で頬を濡らした。
「……」
ナオ君もテツローさんも、何も話しかけてはこなかった。
アメアトで少し霞んだ車のスモークガラスに、あたしの顔が映る。
酷い顔。
ああ。
あたしは、死体を埋めたらどうやって生きていこう。
どうしよう……どうしよう!!
怖いよ、お母さんお父さん。
車は山道に進み、でこぼこの急斜を上っていった。
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