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車を降りる前に、テツローさんは3つの白い段ボール箱を取り出した。
「何?それ」と、とっくに涙が引っ込んでたあたしが聞くと、
「念には念をだ。3人共これを履く」
と言って、彼は箱のふたを開けた。
くしゅくしゅの紙に包まれた、スニーカーだった。
「兄貴によると、警察の科学捜査は飛躍的にレベルを上げてる。
全員これを必ず履いて、髪の毛一本落とすな。ヘルメットは絶対被っとけ」
「う、うん、わかった、ありがとう」
テツローさんの黒く鋭い瞳が、えぐるように心に突き刺さるのが分かる。
「俺はフードだけ?」
緊張の中、自分の頭を指差したナオ君が間抜けた声で言った。
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