天の川

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うちわ、途中で落とした。 不慣れな下駄で駆け出したため、かかとがズキンズキンと悲鳴を上げ続ける。 だけど構ってられない。 水溜まりの泥水が浴衣の至るところに付着し、滑り部分が気持ち悪い。 「はあ、っ、はあ……」 途切れ途切れ、連ねる荒い呼吸。 やっぱり、思った通りだ。 走りながら後ろを振り返ると、長身の黒い影がゆらりと妖怪みたいに揺れた。 また、飛び出す勢いであたしは走り出す。 3日前から、コンビニのアルバイトを担い始めたあたし。 その日から毎日、帰り道にあの黒い影が。 ストーキング。 しかも、長身のひょろりとした見知らぬ男。
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